異業種ビジネスからヒントをもらおう

 


[NO.4]

●女性客がほしがる商品は、女性社員たちが知っている

コンビニのファミリーマートは、小さめサイズで低価格な弁当や和風サラダ、デザートなど11品目を新規に開発した。これらは20〜30代女性客の「ついで買い」を狙った商品。開発にあたって、若手料理研究家ケンタロウ氏に監修を依頼し、商品棚周辺、店頭ポスターでもケンタロウ氏監修をアピールしている。

     

 この商品を開発をしたのは、女性社員だけで編成されたプロジェクトチームだそうです。女性の「ついで買い」を誘うからには、女性の気持ちや気分へのフィットが何よりも大事ということでしょう。ついで買い商品=脇役的商品だからこそ「おしゃれ感覚」も重要、そこでケンタロウ氏起用。これも女性チームならではのアイディアでしょう。
 どんな分野でも商品開発で大事にすべきことは、「お客さん発想」ですが、農業界はなかなか「生産者発想」から抜け出られない。その原因の一つは、女性の視点、センスを活用することが少なすぎることにありそうです。明日から加工・販売は奥さんに任せてみませんか!

 

●「遅い時間に夕食をとる」女性たちをターゲットにしたら

働く女性たちの夕食時間は「遅め」になる。ならば「彼女たち専用のディナーメニューをつくろう」と、東京・新宿ステーションビル「MYCITY新宿」のレストラン街が考えた。料理2、3品にドリンク類をつけた2000円のセットメニューを開発し、21店舗中18店舗が実施した。「夜9時以降対策」の久々のヒットとなった。

     

 農業界も、ターゲットとは「売上に貢献してくれるお客」「利益を生んでくれるお客」であると、理解は進んできたようですが、「あなたは誰をターゲットに、生産、加工、販売していますか」と尋ねると、口ごもるケースがまだまだ多く見受けられるようです。
 「働く女性たちのための遅いディナー」。この事例のようにターゲットを定め、そのターゲットのニーズをあれこれ探ってみる・・・これも新ビジネスを開発する一つの手法です。「農産物だから、食べ物だから、日本人だから、それほど違いはない」、そこまで思ってはいないでしょうが、日々「ターゲットは一種類」と考えてはいませんか。

 

●ホタテ1キログラムは、何枚あると思う?

ホタテの産地で知られる東北某県の道の駅。売り場全体に流れる、焼けるホタテの匂いが何とも香ばしい。次から次へ客が寄っている。当方も近づいてみると驚いた。客の誰もが一様に「何枚、何枚?」と質問している。さらに近づいてみて、納得した。値札には「ホタテ1kg 750円」と書いてあるではないか。

     

 これは生産者がハマってしまう典型的な落とし穴です。ホタテ1kgが何枚かはその日の相場次第でしょうが、それ以前に1kgは大体何枚位なのか、それを知っている一般客はまずいないでしょう。にもかかわらず、生産側は無意識のうちに「誰もが知っている」と思いこんでしまうのです。
 もう一例。著名な産地からいただいた素晴らしい栗。栗料理のいろいろを紹介するレシピ集が入っていたのですが、すべてのレシピの書き出しが「茹でた栗を」であり、冊子のどこにも栗の茹で方は書かれていません。産地にとっては常識なのでしょうが、今やそれが分からない日本人は際限なく増えています。食べ方が分からない商品は、まず買わないと思って間違いないでしょう。

 

 

鈴木 肇(すずきはじめ)

(株)ジャパン・アグリ-カルチュア・マーケティング&マネジメント(通称jamm)取締役(企画担当)。1968年(株)博報堂入社。農業プロジェクトに関わり、農林水産省のグリーンツーリズム研究員、21世紀村づくり塾アドバイザーとなる。1999年同社を退職、農村報知新聞社の編集顧問に就任。

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