異業種ビジネスからヒントをもらおう

 


[NO.5]

●「課題の本質」を見失わない考え方・行動の仕方 ・・・デニーズ

ファミリーレストランのデニーズは今、新しいハンバーグメニュー開発と取り組んでいる。第1弾は、ハンバーグの上に野菜をたっぷりのせて、オーブンで焼いた「焼き野菜ハンバーグ」。第2弾は、石焼きビビンバを連想させる「まぜまぜビビンバーグ&ごはん」。注目すべきは、どちらの新メニューも「野菜の活用」にあることだ。

     

 ファミリーレストランメニューの中核をなすのは、相も変わらずハンバーグだそうです。そこでもう一度ハンバーグにこだわることにしたデニーズは、開発コンセプトを「野菜の活用」としました。新メニュー企画ともなれば、普通はハンバーグ自体をアレコレこねくり回してしまいます。しかし、同社はハンバーグというお馴染みの主役をどう光らせるか、脇役食材に開発ポイントを置いた。分かっていながら迷い込んでしまう新商品開発の隘路とよく言われますが、このように発想の転換ができたことが、素晴らしいですね。
 何が問題か、何が課題か・・・目先の事実だけがその課題ではない。デニーズのケースには、核心に迫られる解決策を学べそうです。

 

●「ベントー・プライス」という価格設定基準 ・・・カルフール

日本に上陸して4年目に入ったフランスのスーパー・カルフールが扱っているPB(プライベートブランド・自主企画)食品は、現在のところ約200品目。固定ファンが増えてきたという。本格的な欧州食品が手軽に買えるということに加え、もうひとつの魅力は、ベントー・プライスと名付けた、1個400〜500円という価格設定にあるようだ。

     

 ベントーとは、そう、弁当です。いくらなら、初めて手にするフランス産食品を買うか。カルフール・ジャパンの商品本部長(仏人)は、その判断基準をよく売れる弁当1個の値段、400〜500円においているそうです。わかりやすくて、面白いですね。想定したターゲットがあまり悩まず買い物をする金額はいくらか、それはどんな商品で顕著に現れるか。ここからベントー・プライスは生まれたのでしょうね。
 農業界も、農畜産物の加工食品の値決めでよく悩まれるようですが、販売ターゲットを明確にし、その人たちはこの種の商品にいくらまで無防備になるか、そのあたりを考えてみると、上手く行きそうですね。

 

●日々客と接していながら、客のニーズ知らず ・・・旅館業界

白濁温泉演出事件を契機に、水道水温泉、井戸水温泉が連日発覚しており、旅館業のあり方そのものが問われている。一見、わがままな客のニーズに振り回されている業種のように映るが、「旅館側の都合」を客に押しつけてくるという批判は少なくない。典型例のひとつは客が誰であろうと関係なく、食べ切れないほどの量が出てくる料理だ。

     

食べきれないほど料理が出てきたことで客が満足した時代、「皿数、皿数」と、旅行会社が旅館側に量だけを強要した時代もありましたが、時代は確実に変化します。また、食材の安全・機能性、料理になった時のヘルシーさ・・・人々の食意識も変わります。
ところが、これらお客さんの関心事=ニーズとは無関係に、依然「量が売り物のサービス」をする。これこそ、一方的な売り手側発想であり、買い手側の発想をしない典型的な業界といえます。「日々客と接していながら客のニーズ知らず」の業界とも言い替えられますね。
 「ダメ旅館の改造計画」というTV番組が高視聴率なのも、「それみたことか!」という客の思いの反映なのではないでしょうか。

 

 

鈴木 肇(すずきはじめ)

(株)ジャパン・アグリ-カルチュア・マーケティング&マネジメント(通称jamm)取締役(企画担当)。1968年(株)博報堂入社。農業プロジェクトに関わり、農林水産省のグリーンツーリズム研究員、21世紀村づくり塾アドバイザーとなる。1999年同社を退職、農村報知新聞社の編集顧問に就任。

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