異業種ビジネスからヒントをもらおう

 


[NO.8]

●12月・1月・2月と3回に分けて届く、三越のお歳暮

新潟のお米、全国の銘菓や名水、缶ビールなどのお歳暮セットを、3回に分けてお届けするという。三越の贈答品のお届け先には高齢者や夫婦だけの世帯が多い。そういうお宅は一度にたくさん頂戴すると困る場合もあろう。それなら3回に分けてお届けしよう。食品ならいつも新鮮なおいしさをご堪能いただける。こう考えた企画だそうだ。

     

 見事なお客様発想企画ですね。実はこれには前段があるそうです。それは、牛肉やタラバガニなど持ちの悪い生鮮商品を小分け包装した「個包(こづつみ)」仕様ギフトです。一食程度に小分けされているから、いつ食べても新鮮、保存もしやすい。2002年のお歳暮から始め、大ヒット。年々この個包仕様が増えているそうです。
 「小分け包装」も「小分け配送」も、贈り主の気遣いをさりげなく伝えてくれる。これもこの企画の狙いだったのでしょうね。

 

●「今日は○○記念日」のアイディア募集。阪神百貨店食品売り場

同店は2001年4月から「今日は○○記念日」という販促イベントを実施している。その日は記念日にちなんだ食材のデモストレーションや特売を展開する。「秋分の日」など誰もが知っている記念日もあれば、「お魚の日」といった同店オリジナル記念日も作った。今「取り上げて欲しい記念日」アイディアをお客様から募集している。

     

 記念日商法といえば「業界をあげて」が多いようですが、一社で、おまけに年間展開するのは珍しいですね。しかも、オリジナルの「○○の日」「○○記念日」まで作ってしまう。この遊び心も素晴らしいですね。
 このセンスを真似しない手はありません。直売所に取り入れる、宅配便に取り入れる・・・まずは、遊び心、コミュニケーション手法として始めたらどうでしょう。「この味がいいねと君が言ったから、七月六日はサラダ記念日」・・・こんな軽いノリで始めてみませんか。

 

●「ご飯・みそ汁・漬物こそ、自社商品の核・基本」という戦略

企業から社員食堂の運営を受託している給食事業大手のグリーンハウスは、この12月から農家に生産委託した特別栽培の「コシヒカリ」や「あきたこまち」の使用を始めた。これは「食の安全・安心志向」への対応策でもあるが、ご飯・みそ汁・漬物を商品づくりの核(=競合他社との差別化要因)と定めている同社の新しい戦略でもある。

     

 日替わりでおかずは変わりますが、毎回出てくるご飯・みそ汁・漬物は「その食事提供者の誠意・見識・技術を物語ってくれる食材」です。恐らくそういう認識なのだと思います。加えてそれだけに、この3品が競合他社商品との差別化ポイントになる、ということでしょう。
 「農業界は競争概念が希薄な業界」とよく揶揄されますが、これを意識し過ぎると、競争のための競争対策、差別化のための差別化対策に追い込まれます。苦しくても本筋での戦いが大事、なんですね。

 

 

鈴木 肇(すずきはじめ)

(株)ジャパン・アグリ-カルチュア・マーケティング&マネジメント(通称jamm)取締役(企画担当)。1968年(株)博報堂入社。農業プロジェクトに関わり、農林水産省のグリーンツーリズム研究員、21世紀村づくり塾アドバイザーとなる。1999年同社を退職、農村報知新聞社の編集顧問に就任。

All contents copyright(c) 2003 Nouka.org. All rights reserved.