農産物の販売に活かすマーケティング力

 

農業界に新しいマーケティングを導入しよう[NO.1]

 一般に「マーケティング」という概念は、大量生産・大量販売を目的として、アメリカでは20世紀初頭、日本では昭和30年に、マス・マーケティングとして導入され、時代の流れと同調して進化してきました。20世紀のマス・マーケティングは「同一に規格された商品を大量生産し、大量販売が可能な売り場を通して、大量の販売促進手段を投じて、見えない大衆に売り込むこと」でした。
 しかしながら、生活者が豊かになるにつれて生活の場面が多様化し、10人1色の時代から10人10色、あるいは1人10色と、さまざまな局面で1人の生活者が多様なライフスタイルを持つようになりました。
 21世紀のマーケティングは、見えない消費者をお客様にするのではなく、作り手、使い手がお互いに対話を通じて、信頼される関係をつくることが求められるでしょう。

 農業をはじめ企業の新しいマーケティングは、「お客様づくりと、そのお客様をどれだけながく自分たちのお客様にするか、お客様を通じて自らが意識革新をしていくこと」に尽きると思います。
 農業界では「マーケティング=有利販売」という意識が強いようですが、マーケティングは企業・生産者が経営を行うすべての目的を達成する手法を駆使することであり、事業目的そのものでもあります。

 販売に関するマーケティングを考えるにあたって、まずベーシックな戦略として、4つのP(4P戦略)というものがあります。

4P戦略とは
  ・ PRODUCT(製品)
  ・ PRICE(価格)
  ・ PLACE(売り場)
  ・ PROMOTION(販売促進活動)
この頭文字を取って4Pといいます。

では、農産物の4Pを考えてみましょう。

・ PRODUCT(農産物や農産加工品など生産している商品)
商品の質・量は満足のいくものですか、作り方に工夫していますか、 お客様からの評判はいかがですか。

・ PRICE(値決め)
自分で作った生産物を自分で値決めができますか、価格は人任せに
なっていませんか、手取りは十分満足のいくものですか、その価格
でお客様は満足していますか。

・ PLACE(売り場)
出荷された商品は確実に売り場に並んでいるか確認できますか、お
客様に確実に届いていますか。自らが独自の「売り場・売り方」を
考えていますか。

・ PROMOTION(販売促進)
お客様を獲得・維持するためになにか工夫をしていますか、お客様
データを整備していますか、お客様への伝達手法やツールはありま
すか、お客様の声を聞く仕組みはありますか。

 このような戦略が、きちんと仕組みとして確立されているとしたら、あなたはマーケティングをしっかりと実施しているといっていいでしょう。

 


 

林 辰男(はやしたつお)

(株)ジャパン・アグリ-カルチュア・マーケティング&マネジメント(通称jamm)取締役(マーケティング担当)。1966年(株)博報堂入社。企業・自治体のマーケティング、リサーチを担当、その後農業プロジェクトに参画。2000年同社を定年退職、自治体・農業団体の調査、農業関連のマーケティング、リサーチ、プランニングに携わる。

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