農産物の販売に活かすマーケティング力

 

農業界に新しいマーケティングを導入しよう[NO.2]
〜お客様づくりが決め手〜

 マーケティングとは「お客様の気持ちになって考え、行動すること」です。お客様が今何を欲しがっているのか、何故その商品に決めたのか、購買行動に影響した要因は何かなどお客様の気持ちを知ることが商品作りの第一歩でしょう。しかし「お客様」と言われても漠然としたイメージしか浮かんでこないのが本音では無いでしょうか。
 そこで、お客様をもう少し細かく分けて、考えてみましょう。十把一からげにした「お客様」というのは、マス・マーケティング(大量生産・大量販売・大量消費)を駆使することによって、工場で作られるような同一規格で画一化された商品を販売するには有効です。
でも、農畜産品は決して大量生産・大量販売を目論んでいるわけではありません、むしろきちんとしたお客様をフォローすることが大切でしょう。

 では、お客様を6つに分けた段階図を見てみます(この図をお客様ピラミッドと呼びます)。

●見込み客(プロスペクタ−)… 現在は購入には結びついていないけれど、近い将来お客様になる可能性がある潜在的な方々(例えば、デパートのウインドウ・ショッピングをしたり、商品のカタログや情報を集めたりしているお客様)、小・中学生など未来の購買客を指します。

●購入客(カスタマー)… 実際に特定の商品を一回以上購入経験のあるお客様です。

上記の2層がマス・マーケティングでフォロー出来るお客様で、テレビや新聞といったマスメディアで購入経験を高めることが可能です。

●得意客(クライアント)… 同じ商品を複数回買っていただけるお客様で、いわゆるリピーター(繰り返して買って頂ける方)です。
この層の方々になると、単にマス広告によって直接的な勧誘を期待することは難しくなります。クライアントは品質やイメージに裏付けられた信頼によって、購買行動を起こすのです。この層にはきめの細かい対応が必要です。他の扱い商品や新商品情報の提供、アフターサービス、イメージの維持などが大切です。例えば一般の購入客とは異なったサービス、特典を考える必要があります。きめの細かい対応がお客様を長く維持させることの秘訣でしょう。

●支持客(サポーター)… 熱狂的なファンともいえるような、大相撲、プロ野球、サッカーのJリーグに見られるお客様です。
この層ともなれば、他の生産者の商品にそっくりくら替えする可能性は低くなって、ロイヤリティ(忠誠度)の高いお客様となります。支持客の増加が安定した会社運営の基本となると考えていいでしょう。

●代弁客(アドボケ−ター)… 会社に成り代わって他のお客様に積極的に商品を勧めてくれるお客様です。いわゆる口コミの有力な情報源となります。お中元、お歳暮などギフトに使っていただいたり、お客様紹介もお願いできます。
このお客様には、新商品をいち早くお届けしてご意見をいただくことも可能になります。さらに会社に有利な情報やクレームなども積極的にアドバイスいただけるのです。

●共同経営者(パートナー)… 会社の経営理念に共鳴して、積極的に出資まで行い、共同経営体としてお願いできるお客様です。
ここまでの方はそれほど多くは無いと思いますが、大切なパートナーとして会社の発展に寄与していただける方です。

 以上が6つのお客様分類ですが、自社のお客様は、この分類の中にそれぞれどの割合でいるのか、ということを分析する必要があると思います。
 一般に80:20の法則があります。これは、買ってくださるお客様の中で利益が上がる割合を示したもので、お客様と考えている方の上位20%の方の売り上げが、利益の80%を占めるということを表しています。お客様をどのように分類するか、また、それぞれのお客様にどのように対応するかが課題となります。
 そして、得意客を増やし、できるだけ多くの支持客に転換させていくように考えていかなければなりません。農業マーケティングを進めていく中で「自分のお客様」を持つことが成否の鍵を担っているといってよいでしょう。

 


 

林 辰男(はやしたつお)

(株)ジャパン・アグリ-カルチュア・マーケティング&マネジメント(通称jamm)取締役(マーケティング担当)。1966年(株)博報堂入社。企業・自治体のマーケティング、リサーチを担当、その後農業プロジェクトに参画。2000年同社を定年退職、自治体・農業団体の調査、農業関連のマーケティング、リサーチ、プランニングに携わる。

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